私はモノづくりの業界の中でもプレス加工が一番ロマンを感じる。
最初に携わった工業がプレスだからかもしれないが、プレス加工にはモノづくりの夢がある。しかし現在の国内プレス業界は、かなり衰退しているのだ
今から25年以上前は、プレスの主流は、フロッピーディスクの「シャッター」「センターコア」→ ハードディスクのカバー → デジタルカメラ部品 どんなに作っても需要が多くて全然市場が足りない時代があった。
「新発売・新機能=よく売れる」とりあえず買ってみようか の時代
だから金型(開発費)を作ってもあっという間に利益に繋がる為、どこのメーカーも金型代は惜しまず、ドンドン製品を開発していた!
しかし時代は変わり「新製品=売れる」の定義はなくなった。ネットで情報拡散する為、新機能も買う前から評価されたり比較されたりする
適当な☆☆☆で評価されたりもする。良い物が売れているのではなく評価が高い物が売れる時代なのだ。どうやら顔も名前も知らない他人の評価が、今は一番重要らしい・・・
物が売れない可能性があるという事は、新製品=リスクがあるとメーカーは考える。となると金型(開発費)は安く抑えたい→国外で安くと変わってしまった。
プレス部品の営業をしていた時代、開発部隊やデザイナーと商談したり同席することが多かったが、多くの開発者が口にする言葉=それが「コンセプト」
どんな物でも開発者は必ずコンセプトを持って世に出そうとしている。そこにはロマンがあり、夢があり、喜びがある。
だから、作り手は必死で要望に応え、夜も寝ずに良い物を提供する。それが世に出た時の喜びは作り手にも依存する。
モノづくりの最高の瞬間がそこにあった。
また あの時代が戻ってくるように、私はモノづくりをサポートしていきたい
木村新吾